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胃潰瘍は胃壁、つまり胃の粘膜や筋肉が、十二指腸潰瘍は腸の粘膜や筋肉が胃液によって消化され、えぐり取られてしまう病気です。
ですから、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の二つを併せて消化性潰瘍と呼ばれることもあります。
それではなぜ潰瘍が発生するのでしょうか。
一口で言うと、潰瘍は胃の粘膜を攻撃する胃液と、胃の粘膜を守る粘液のバランスが崩れたときに起こります。
すなわち、塩酸やペプシンなどを含む胃液は粘膜を攻撃する攻撃因子の代表であり、粘膜を守る側の粘液は防御因子の代表であり、この二つの因子のバランスが崩れたときに起こるわけです。
そのバランスを崩すのは、ストレスであり、潰瘍にかかりやすい性格であり、食事などの生活習慣などです。
胃潰瘍はストレス病の代表選手といっても過言ではないでしよう。
では、ストレスがどうして胃潰瘍を作るのかといいますと、緊張が起こると、胃の血管が収縮してけいれんを起こします。
すると、血液の流れが悪くなって、粘膜の細胞に十分栄養が行かなくなり、そのために粘液が作れなくなります。
そして一方では、精神的緊張により迷走神経が刺激を受けて、胃液の分泌をどんどん増やします。
その結果、攻撃因子が強くなり、防御因子が弱くなりますので、潰瘍はあっという間にできてしまうのです。
このように胃に最も負担をかけるものは、緊張、不安、心配、イライラなどの心理的ストレスなのです。
また、生まれつき潰瘍になりやすい人となりにくい人がいて、潰瘍になりやすい人を潰瘍性格といい、潰瘍の体質は遺伝するのではないかと考えられています。
潰瘍性格の人は一般的に神経質で細かく気の付く人で、何かあるといつまでもそれに捕らわれているような人です。
それでは最後に生活習慣について少しお話ししてみましょう。
タバコを吸うと、ニコチンの血中濃度が上がります。
そうすると、胃の粘膜の血管が収縮してけいれんを起こし、胃の粘膜の微細血管の血液循環に障害を起こし、胃を防御している粘液も酸素不足となり、防御力が弱まってしまいますので、潰瘍ができるわけです。
コーヒーやアルコールも胃によくないといわれています。

 

 

 

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